高齢者になるほど、今までの身体の恒常性に働いていた機能は衰えてきます。

そのため、日常生活もそうですが服用する漢方によっては

かえって身体を不調にしてしまうものもあるので参考に覚えていただければと思います。

■高齢者の身体・精神面の特徴

  • 体温調節能力の低下
  • 免疫機能の低下(感染症にかかりやすい・怪我の治りにくさ)
  • 発熱や下痢を起こしやすい(脱水症状を起こしやすい)
  • 老化による記憶力や計算力の低下
  • 抑うつ気分や不安症

これらは、加齢により現れる身体や精神面への変化になります。

■高齢者の病気の特徴

症候により個人差が大きいことが、高齢者の特徴です。

そのため、状態に合わせた漢方を指導・選択するのが求められます。

例えば

  • 複数の病気を併発している
  • 慢性化しやすい
  • 呼吸器、循環、消化器、内分泌系などの機能低下
  • 体内水分量の減少や電解質バランスの異常

これらの特徴があるので同じく漢方の指導・選択することは必要になります。

■薬物の代謝能力

肝臓や腎臓の機能低下に伴い、薬物の代謝能力も低下します。

また、高齢者は多剤の併用かつ長期の投与の場合がほとんどのため

薬物相互作用のリスクが高まっていることを留意しておく必要があります。

■高齢者の方が服用する際のポイント

先程述べたように、高齢者は身体の生理機能(恒常性)が低下しており

漢方薬の副作用があらわれやすいので投与量を減らして服用するのが一般的です。

そういった点は、一般知識として知っておくといいでしょう。

また、漢方の生薬では【補剤】のものを基本的に配合されたのを服用します。

補剤とは、心身のエネルギーが衰えている場合にエネルギーを補充する働きをする漢方薬です。

代表的な補剤を以下になります。

  • 補中益気湯(ホチュウエッキトウ)

胃腸虚弱で、抑うつ気分があるときに服用します。

また病後や術後の体力低下などの回復を図る養生薬として昔からよく使われています。

  • 十全大補湯(ジュウゼンタイホトウ)

病後や術後の体力低下や虚弱体質の改善に用います。

  • 人参養栄湯(ニンジンヨウエイトウ)

十全大補湯と使用目標が類似していて、体力低下や全身倦怠感の改善に用います。

また胃腸障害がある人は注意が必要な局面もあります。

  • 六君子湯(リックンシトウ)

胃腸虚弱で食欲不振などがある場合に用いられます。

特に副作用には注意が必要です。

高齢者では、狭心症などの心血管系疾患を抱える人が多くなります。

特に服用する高齢者は、【麻黄】を含む漢方薬の使用には注意が必要です。

前立腺肥大症の人も、まれに麻黄が尿閉を惹起することがあるのでそこも覚えておきましょう。

そのほかにも、緑内障の中でも閉塞隅角緑内障は急激に眼圧が上昇することがあり

麻黄に含まれるエフェドリンは眼圧を上げる可能性があるため注意しましょう。

【腑子】も脈拍を早める作用があり、心血管系疾患の高齢者の使用は注意です。

【大黄】は作用に個人差が大きく下痢になることもあるので合わせて注意が必要です。

そのほかにも【甘草】【人参】【黄連】【黄芩】なども注意が必要となるので

しっかり知識として覚えておけるといいでしょう。

ここまでが簡単ではありますが、注意点をまとめたものです。

注意する生薬の名前だけでも覚えておくのをオススメします。

光幸はりきゅう院・接骨院 代表:庄司 有希