薬膳とは、漢方の考えを基本に季節や体質に合わせて食材を選び作る料理です。

食材にも薬と同じように身体を治す効果があると考えられています。

では、その体質はどういったものがあるのでしょうか?

  • 気虚証

このタイプはエネルギー不足で体力が落ちている状態です。

他にも、疲れやすい・汗をかきやすい・風をひきやすい・下痢が多い・昼間の眠気に悩む。

  • 血虚証

栄養を行き届かせる血液が不足している状態です。

他にも、集中力低下・睡眠が浅い・髪や肌が乾燥しやすい・眼精疲労・手足のひきつりに悩む。

  • 気滞証

心身にストレスを受けることで、気の巡りが滞る状態です。

他にも、イライラしやすい・関節の痛み・お腹の張り・屁が多い・ため息が多い体質に悩む。

  • 瘀血証

血液の巡りが悪くなり、汚れた血が滞った状態です。

顔にクマができやすい・筋が凝りやすい・手足の冷え・生理痛が強く血塊になりやすい体質に悩む。

  • 陰虚証

身体に潤いを与える水分が足りていない体質です。

喉が乾きやすい・のぼせる・手足のほてり・便秘・寝汗が多くなる体質に悩む。

  • 陽虚証

身体を温める陽の気が不足している体質です。

温かい飲食物を好む・寒さ弱い・尿意が近い・寝ても疲れが取れず朝が弱い体質に悩む。

  • 水毒証

水分の代謝が悪く、体内に水分が溜まりやすい体質です。

身体の重だるさ・食欲不振・足のむくみ・下痢傾向で尿が少ない・雨曇りで体調不良の体質に悩む。

  • 湿熱証

ストレスや塩、辛いものやお酒の過飲食で体内に熱がこもりやすい体質です。

顔が赤い・イライラしやすい・冷たいものを好む・尿の色が濃い・口渇などの体質が特徴。

この8つの、体質に分類されます。

薬膳では、この体質や体調をふまえて食材を選んだり

その食材と他の食材の食べ合わせで、薬膳の効果を高めたりすることで

身体の調子を整え、体質改善+良好な健康状態を実現することができます。

今回は、身体を養う中心的存在となる穀物を解説していきます。

ご自身の体質と照らし合わせて、参考にしていただければと思います。

◆白米 / 玄米

活動エネルギー源となる炭水化物を豊富に含み、気を補う食材です。

そのため、気虚体質の方は積極的に食べる習慣をつけたいとこです。

米は胃腸を丈夫にし、消化吸収機能を回復させる働きがあるほか

イライラを和らげる作用もあると考えれています。

また白米より玄米のほうが、ビタミンB1や食物繊維が豊富なので

疲労回復や便秘の解消にも効果があります。

胃の調子が悪い時には、胃腸を温める鶏肉との食べ合わせがオススメ。特に鶏雑炊◎

滋養強壮には、ビタミンB1が豊富なゴマを食べ合わせることで

糖質の代謝をより高めることで、エネルギー産生がアップできます。

◆もち米

元気の出る食材の代表として、昔から体力回復や母乳の出を良くする効果があります。

そのため、気虚の体質の方は積極的に摂取したい食材のひとつです。

栄養成分は米とほとんど同じですが、もち米のほうが

デンプン質のアミロペクチンという、粘り成分が多いため

熱を加えると強い粘り気が出てくるのも特徴です。

それにより、脾胃の働き・温める効果を得られることで慢性的な疲労や

冷え症や、下痢などにも有効な食材です。

胃の調子を整えたい時は、大根をおろしとの食べ合わせがオススメです。

また、やまいもと食べ合わせることで気を養う作用が効果的になり疲労回復に◎

◆黒米

薬膳では、黒い食材は老化を抑制すると言われています。

黒色はアントシアニン(抗酸化作用に○)という天然色素です。

黒米は気虚・血虚体質に悩む人は、より摂取をオススメする穀物で

作用として、胃腸を丈夫にしたり気を養ったり、血液の巡りを高めたりと

さまざまな効果が得られる食材になります。

オススメの食べ合わせ食材は、落花生と栗です。

落花生は血を補う働きがあるので、血虚の方にはオススメ。

栗は滋養強壮に効果のある食材ですので、この2つの食材を合わせ

炊き込みご飯などで摂取することで効率良く栄養を身体に取り込めます。

◆大麦

気虚・陰虚・水毒証の体質症状に悩む人に、オススメの食材です。

大麦は生活習慣病の予防に最適な食材といわれています。

食物繊維・ビタミンB群・ミネラルなどが豊富に含まれていて

とくに食物繊維は白米の約19倍、さつまいもの4倍も含まれています。

そのため腸内の不要な物質を排出してくれるので便秘の解消や

余分な脂肪の吸収を抑え、血液の巡りをよくする働きがあります。

オススメの食べ合わせは、わかめ・やまいも・かぼちゃです。

大麦とわかめの食べ合わせは、どちらも昇った気を降ろす作用があるので

腸内に溜まった便を下ろす効果が期待できます。

麦ご飯におろしたやまいもをかけ、とろろご飯にすることで

どちらも、消化吸収を助け身体に栄養を行き届かせやすくなります。

その相乗効果で、疲労回復効果が期待できます。

かぼちゃとの食べ合わせは、糖尿病予防に効果的です。

食物繊維が豊富で糖代謝を促進する大麦と血圧を下げるインスリンの

分泌を促す成分を多く含む、かぼちゃは健康な身体を作るのにオススメです。

※冷え症に悩む人は、食べる量には注意しましょう。

◆小麦

気虚証の体質に悩む方に、オススメの食材です。

気を養う作用があるのはもちろんですが、他にも精神を安定させる作用もあります。

不安症・不眠症・抑うつの改善効果も期待できます。

また、胃腸の機能を整えるので食欲不振や下痢気味のときも◎

小麦は、たんぱく質・食物繊維・ビタミンB1・B2・E・ミネラルなどの

栄養素が豊富に含まれているのも身体に嬉しいですね。

オススメの食べ合わせは、トマトとなつめです。

トマトと一緒に他野菜と小麦を煮て、リゾットに。

のぼせやすい人は、この食べ合わせで昇った熱を降ろすことができます。

小麦となつめの食べ合わせは、気と血を補うのに最高の組み合わせです。

その効果は、精神を安定させストレス状態を予防に◎

◆そば

気虚証・気滞証の症状、体質に悩んでいる方にオススメな食材です。

身体にこもった余分な熱を除去し、頭部に昇った気を降ろす作用があります。

またルチンという成分が血圧を下げる作用や抗酸化作用があるといわれています。

そばには、糖質の代謝を促すビタミンB1やたんぱく質(アミノ酸)が

バランスよく含まれていて疲れているときに摂取したい食材です。

他にも、胃腸の機能を回復させ活性化、整腸作用も期待できるので

下痢や便秘にお困りの方にもオススメです。

できれば、温かいそばで食べるように心がけましょう。

おすすめの食べ合わせは、陳皮(乾燥みかんの皮)が良いでしょう。

ストレスが溜まっているときは、身体に熱がこもっている状態なので

そばで身体の熱を取り除き、つゆに陳皮を入れその香りで気分をスッキリさせましょう。

ここまでが、主食となる穀物類の薬膳効果です。

よろしければ参考にしていただき、身体を内側から健康にしてみましょう。

食事から体質を変えるのは、時間がかかるものです。

コツコツと未来のために、今から意識を変え準備をしていきましょう。

光幸はりきゅう院・接骨院 代表:庄司 有希