経穴の中でも、特に臨床上重要な作用を持っているものを

総称して【要穴】と呼びます。

  • 五要穴-ゴヨウケツ
  • 五兪穴-ゴユケツ
  • 五行穴-ゴギョウケツ
  • 四総穴-シソウケツ
  • 八会穴-ハチエケツ
  • 八脈交会穴-ハチミャクコウエケツ
  • 下合穴-シモゴウケツ

の7つに分類され、それぞれ特徴があります。

今回は、その内容をまとめてお話していきます。

施術を受ける前などの、予備知識として活用してみてください。

経絡経穴のことも知ってみたい方は、こちらも読んでみてください。

◆五要穴

五要穴は、状態の診断や鍼灸などの治療での使用頻度が多い経穴のことです。

  • 原穴
  • 郄穴(げきけつ)
  • 絡穴(らくけつ)
  • 募穴
  • 兪穴(背部兪穴)yuketu

の5種類の経穴を、総称したものをいいます。

原穴・郄穴・絡穴は左右の上肢、下肢に募穴と兪穴は体幹にそれぞれ位置します。

■原穴

原穴は、原気(元気)が多く集まるところです。

各経脈の中で最も重要な経穴です。

原穴の反応から臓腑の状態が分かり、臓腑機能の調整をすることもできます。

そのため、心身の状態などが原穴にあらわれることがあります。

正経十二経の各臓腑の経絡に各1つずつ定められている。

■郄穴

郄とは、隙間・骨と筋肉の隙間・閉じる・退けるといった意味を持ちます。

このことより、「もとの状態に戻す」「速やかに邪を退ける」などの効力を持ち

急性的な症状の反応点・診断点・治療点とされています。

郄穴は正経十二経の加え、奇経八脈の陰蹻脈、陽蹻脈、陰維脈、陽維脈の4つを

合わせて全16穴となります。

■絡穴

絡穴とは、経脈と他の経脈の連絡をし分岐するための経穴である。

また慢性疾患の症状の反応点・診断点・治療点として活用することで効果を発揮します。

正経十二経と督脈・任脈と脾経の大絡に、それぞれ存在し全15穴ある。

■募穴

募穴は、臓腑の気が多く集まるところで、すべて胸腹部に位置する。

■兪穴(背部兪穴)

兪穴は、臓腑の気が注ぐところですべて背腰部に存在している。

各臓腑の名前が、経穴についているものが多く症状のある臓腑の反応が

背部兪穴の存在する背・腰部に現れることもあります。

■五兪穴・五行穴

五兪穴は、上肢・下肢の肘関節と膝関節から末梢にある十二経脈上のうち

五行(木・火・土・金・水)の性質が付されている経穴をさします。

陰経と陽経で五行の配置が変わる。

●井○穴(セイケツ)

井穴は脈気が出るところ、手足の各末端にある経穴が該当する。

この穴は、心下満(心窩部の膨満感や緊張)をつかさどる。

陰経では木に属し、陽経では金に属している。

●榮○穴(エイケツ)

榮穴は脈気が溜るところ、末端経穴から2番目にあたる。

この穴は、身熱(身体の熱)をつかさどる。

陰経では火に属し、陽経では水に属します。

●兪○穴(ユケツ)

兪穴は脈気が注ぐところ、末端経穴から3番目に位置するが

陽経である胆経では、4番目の経穴にあたります。

この穴は、体重節痛(身体が重だるく、関節が痛む)をつかさどる。

陰経では土に属し、陽経では木に属する。

●経○穴(ケイケツ)

経穴は脈気が行くところ、上肢では手首付近に下肢では足首付近に存在する。

この穴は、喘咳寒熱をつかさどる。

喘は喘鳴や呼吸困難、咳は咳嗽、寒は悪寒、熱は発熱を指す。

陰経では金に属し、陽経では火に属する。

●合○穴(ゴウケツ)

合穴は脈気が入るところ、上肢では肘関節付近に下肢では膝関節付近にある。

この穴は、逆気(のぼせ)して泄する(もらす)をつかさどる。

陰経では水に属し、陽経では土に属する。

■四総穴(シソウケツ)

四総穴とは、身体の四部位に分けて各部を主治とする経穴である。

  • 肚腹(腹部)の病は【足三里】:胃経
  • 腰背部の病は【委中】:膀胱経
  • 面口、面目(顔面部)の病には【合谷】:大腸経
  • 頭頂(頭部と後頸部)の病には【列欠】:肺経

を治療点のひとつとして考え鍼灸で刺激を与える。

■八会穴(ハチエケツ)

臓・腑・筋・髄・血・骨・脈・気のそれぞれのエネルギーが集まるところで

それぞれの部位にある経穴の存在している。

東洋医学において、各組織の気血が集まっており、特に治療点となる場所を指します。

■八脈交会穴(ハチミャクコウエケツ)

八脈交会穴とは、奇経八脈の主治穴であり正経十二経と奇経八脈が密接に関係するところ。

奇経八脈(督脈・任脈・衝脈・帯脈・陽蹻脈・陰蹻脈・陽維脈・陰維脈)

奇経にはそれぞれ、主治とする病症があり、その病症に対して

個々の奇経の治療点や、上肢・下肢のその他要穴を用いて病を治療する。

■下合穴(シモゴウケツ)

臓腑の腑の6つへ病の際、反応が現れやすく治療点に用いる経穴で、全て下肢にある。

六腑(胆・胃・小腸・大腸・膀胱・三焦)の気が流注して出入りする重要な穴。

六腑は一般的には胸腹腔内にある、中が空洞の臓器で飲食物を受け入れ消化し

次の臓器に送ったり、水分の吸収・輸送・排泄に関与しています。

以上が、経穴の中でも特別な効能をもつ【要穴】を紹介しました。

今後のブログでは、要穴ごと経穴の位置と効能を個別にまとめていきますので

そちらも合わせて、お読みにいただけると嬉しいです。

光幸はりきゅう院・接骨院 代表:庄司 有希