主に、風邪症候群・気管支炎・気管支喘息の症状緩和に漢方薬を用います。

ただ、感染による疾患には一般的な薬物との併用が必要になります。

最初に、3つの特徴をお話していきます。

■風邪症候群

風邪症候群とは、ウイルス感染による上気道の急性炎症疾患です。

症状として、発熱・くしゃみ・鼻汁・鼻閉・咽頭痛・咳嗽・悪寒などがみられます。

病期が急性期・亜急性期・回復期の3つに分類されます。

急性期では、初期1~2日間は鼻汁・くしゃみ・鼻閉・悪寒・咽頭痛

関節痛・全身倦怠感などの症状がみられます。

亜急性期では、微熱・食欲低下・咳嗽・痰・口が苦いなどの症状がみられます。

回復期は、易疲労倦怠感・咳が残った状態です。

各病期により、症状や服用する漢方薬も異なってきます。

もし肺炎などの合併症が起こった場合には、漢方薬より抗菌薬・抗生物質を主流にします。

■気管支炎

咳嗽や痰を主症状とする場合の臨床的診断名です。

急性疾患では、ウイルス感染によって気管支に急性の炎症が起こる状態をいいます。

一方、慢性気管支炎は咳嗽・痰が数週間~数ヶ月続く状態をいいます。

急性・慢性気管支炎で服用する漢方薬が異なるので、しっかりおさえておきましょう。

明らかな細菌感染・基礎疾患がある場合や、急に悪化した場合は抗生物質など西洋薬を優先します。

■気管支喘息

気道の慢性炎症、可逆性のある気道狭窄、気道の過敏性亢進が主な病態であり

症状として繰り返しの咳・喘鳴・呼吸困難が特徴です。

急性発作・非発作時で服用する漢方薬を使い分けます。

急性発作時には、西洋薬を優先しますが軽度であれば漢方薬のみでも可能です。

また喘息の重積発作では、漢方薬は不適応になります。

喘息の際、用いられる西洋薬は吸入ステロイド薬・テオフィリン徐放製剤

抗アレルギー薬などが一般的に使用されます。

では、どういった漢方薬を服用するといいのか?お話していきます。

◆葛根湯(カッコントウ):製品番号1

葛根・大棗(タイソウ)・麻黄(マオウ)・甘草(カンゾウ)・桂皮(ケイヒ)・芍薬(シャクヤク)・生姜(ショウキョウ)

生薬の構成により製剤された漢方薬です。

風邪のひきはじめに服用をしましょう。

風邪による悪寒・発熱・頭痛・項背部のこわばり・汗をかいていない

局部の疼痛・腫脹・発赤がでてる風邪の引きはじめ。

風邪症候群・気管支炎に用いられます。

また蕁麻疹や湿疹・肩こり・上半身の神経痛・片頭痛・扁桃腺炎・蓄膿症などにも。

◆小柴胡湯(ショウサイコトウ):製品番号9

柴胡・半夏(ハンゲ)・黄芩(オウゴン)・大棗(タイソウ)・人参(ニンジン)・甘草(カンゾウ)・生姜(ショウキョウ)

生薬の構成により製剤された漢方薬です。

風邪が長く続き、微熱や食欲不振などで体力が低下している人は服用しましょう。

風邪症候群・気管支炎をはじめ、肺炎や肺結核などの呼吸器疾患に用いられます。

慢性胃炎や肝臓・胆などの疾患、産後の回復不全、蕁麻疹、帯状疱疹にも用います。

◆小青竜湯(ショウセイリュウトウ):製品番号19

半夏(ハンゲ)・乾姜(カンキョウ)・甘草(カンゾウ)・桂皮(ケイヒ)・五味子(ゴミシ)・細辛(サイシン)・芍薬(シャクヤク)

麻黄(マオウ)の生薬の構成により製剤された漢方薬です。

喘鳴・咳嗽・呼吸困難などの呼吸器症状や鼻症状がある。

水様性の痰や、鼻汁や鼻閉、くしゃみなどを伴う。

風邪症候群・気管支炎(急性、慢性)・気管支喘息をはじめ急性、慢性鼻炎や

アレルギー性鼻炎、花粉症、小児喘息にも用いられます。

◆麻黄湯(マオウトウ):製品番号27

杏仁(キョウニン)・麻黄(マオウ)・桂皮(ケイヒ)・甘草(カンゾウ)の生薬の構成により製剤された漢方薬です。

風邪のひきはじめの発熱、悪寒、関節痛などを取り除いてくれます。

頭痛・発熱・悪寒・腰痛・四肢の関節痛・咳嗽・喘鳴がある。

風邪症候群や気管支炎をはじめ、インフルエンザの治療にも使われます。

他にも、関節炎・慢性関節リウマチ・鼻炎・アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎・鼻閉にも用います。

今回は、この4つの漢方薬を紹介させていただきました。

また別のブログで他の呼吸器系疾患に服用する漢方薬を紹介していきます。

今では薬局でも、自分でお買い求めできる時代ですので

しっかり選択できるように知識として覚えていただけたらと思います。

光幸はりきゅう院・接骨院 代表:庄司 有希