腸閉塞(以後イレウス表記)は、全年齢層に起こりうる腸管への病的障害をいいます。

腸管への障害とは、食べた物や消化液、ガスなどが通過障害を生じさせ

腸管内容物が肛門側への移送が行われなくなった状態のことです。

それにより、腹部にさまざまな症状を引き起こします。

◆イレウスの分類

通過障害をきたす原因によって、以下の分類になります。

■機械的イレウス

機械的イレウスは、物理的な閉塞部位が明らかなもの。

  • 単純性イレウス(閉塞性):腸管の血行障害を伴わないもの
  • 絞扼性イレウス(複雑性):腸管の血行障害を伴うもの

■機能的イレウス

機能的イレウスは明らかな閉塞起点なしに、腸管運動障害にて腸内容の停滞を生じるもの。

  • 麻痺性イレウス:腸管運動の低下によるもの
  • 痙攣性イレウス:腸管の局所的かつ持続的痙攣によるもの

このあと、各イレウスごとにわけて説明をしていきます。

まず、イレウスにみられる共通した症状や所見などをお話していきます。

◆イレウスの共通した症状

腸内容物の肛門側への、通過障害や停滞により腸管が異常に拡張し

腹部の膨満感や腹痛を呈する。

腸内容物が肛門側に排出されないために、便秘と排ガス停止が起こる。

◆イレウスの所見

蠕動不穏という、腸の蠕動運動が腹壁を介して見える腸蠕動の異常をみることがある。

腸管の硬直が起こり、細長い腫瘤を触知できる。

腸管内にガスが溜まり、腹部が膨隆する鼓腸を呈する。

次に、各イレウスの病態を詳しくお話していきます。

◆単純性イレウス(閉塞性)

先程も解説した通り、血行障害を伴わないイレウス。

■単純性イレウスの原因

  • 先天性:生まれつきで腸閉塞の場合
  • 腸管内腔の異物:腸管内の糞塊、胆石、腸石により閉塞する
  • 腸管壁の器質的変化:手術後の癒着、腫瘍により腸内腔が狭まり閉塞する
  • 外部からの腸管圧迫:腹腔内に腫瘍、炎症性病変などで腸管が圧迫され起こる

■単純性イレウスの症状

先程、述べたイレウス共通の症状の他にも特徴症状があります。

腹痛が周期的に起こる疝痛(腹部臓器の障害によって生じる腹痛の総称)を呈する。

ときに★ブルンベルグ徴候をみることもある。

★腹壁を垂直に圧迫し、その手を急に離したときに鋭い痛みを感じる症状のこと。

◆絞扼性イレウス(複雑性)

腹腔内のさまざまな構造物により腸管が腸間膜と、ともに締めつけられ

腸管通過障害よ腸間膜血管の血行障害をきたす腸閉塞です。

血行障害を伴うことで、腸管の壊死をきたしやすいのも特徴です。

■絞扼性イレウスの原因

腸重積、腸捻転、ヘルニア嵌頓などにより発症する。

腸重積

腸管の一部が、そのつづく腸管内腔へ嵌入(穴などに長い物がはまりこむ)すること。

生後4~10ヶ月の乳幼児に好発する。

腸捻転

腸管が腸間膜を軸として回転することで、通過・血行障害の原因になる。

発生部位は、S状結腸が最も多く小腸、回盲部にもみられることもあります。

中年や高齢者にみられることが多いです。

ヘルニア嵌頓

腹部臓器が本来の部位から逸脱し、間隙や孔口を絞扼させ腹腔内にもどれなくなった状態。

起こす頻度が多いのは、大腿ヘルニアで次に鼠径ヘルニアや臍ヘルニアがあります。

一般に乳幼児と高齢者に好発しやすいです。

■絞扼性イレウスの症状

腹痛は、持続性の強い痛みであり時間経過とともに腹膜刺激症状があらわれ腹水がみられる。

腸重積は、乳幼児に多いので突然不機嫌になり、血便をみます。

腸捻転によるもので多いのは、突発的に悪心、嘔吐を伴う激痛で発症し重篤なショック症状を呈する。

ヘルニア嵌頓では、ヘルニア腫瘤が腫大して硬く緊張性となり絞扼部に持続性に疼痛をみる。

また、ショック症状を呈することあります。

◆麻痺性イレウス

腸管の蠕動運動の低下また、麻痺により腸内容物の通過障害をきたした状態。

■麻痺性イレウスの原因

腹膜炎が原因がもっとも多く、その他にも急性上腸間膜動脈閉塞症や腹膜内出血

開腹手術後、急性膵炎、脊髄損傷などで起こります。

■麻痺性イレウスの症状

腸の蠕動不穏はみられないのが特徴で、蠕動音が減弱、消失するのでゴロゴロとした音を聞く。

◆痙攣性イレウス

腸管の一部でおこった持続的な痙攣により、腸内容の通過が障害であるが稀な状態。

■痙攣性イレウスの原因

鉛中毒、腹部打撲が原因にあげられる。

■痙攣性イレウスの症状

疝痛をはじめとした、共通症状がみられます。

◆各イレウスの治療方法

絞扼性イレウスは、急性腹症のひとつなので発症後なるべく早期の

開腹手術をおこない腸管の絞扼を取り除く必要があります。

麻痺性イレウスのなかでも、急性上腸間膜動脈閉塞症によるものは緊急手術が必要です。

それ以外のイレウスで、重篤な状態でないようであれば鍼灸治療を中心に

当院で症状の軽減や緩和を獲得できる可能性があります。

腸管は身体を動かす筋肉の神経とは違う神経に支配されています。

自律神経とよばれるもので、身体の内臓器官を調整や血管運動、神経循環など

腸の運動を正常に近づけるようなサポートは期待できます。

鍼や灸で得られる刺激には、自律神経の働きを整えてくれる効果があります。

また全身に配置されている経穴(ツボ)の効能で、症状を緩和することも可能です。

主に、腹部や背部を中心に前腕や下腿周囲の経穴で治療を行います。

少しでも良い方向に変わるキッカケになるので、治療を受けてみたい方は

相談や問い合わせ・治療の予約お待ちしてます。

光幸はりきゅう院・接骨院 代表:庄司 有希