腱板損傷は、肩の痛みや機能障害を引き起こす中高年層に特に多い疾患です。
肩関節を安定させ、腕の上げ下げなどの動作を司る「腱板」という組織が傷つくことで発症します。
ここでは、腱板損傷の原因、具体的な特徴(症状)
そして効果的な保存的療法(ケア・マッサージ・鍼灸・運動療法)について、詳しく解説します。
1. 腱板損傷とは?その原因と種類
📌 腱板(ローテーターカフ)の役割
腱板は、肩甲骨から上腕骨にかけて付着している4つの筋肉の腱
(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)の総称です。
この4つの腱は、
- 肩関節を安定させる:上腕骨頭を肩甲骨の関節窩に引きつけ、適切な位置に保ちます。
- 肩の動きをスムーズにする:特に腕を上げる動作(外転)や回す動作(回旋)に不可欠です。
この腱板の一部または全てが断裂した状態が「腱板損傷」です。
📌 主な原因
腱板損傷の主な原因は、加齢による腱の変性と、それに伴う軽微な外力の組み合わせによるものです。
| 原因 | 詳細 |
| 加齢による変性 | 腱は年齢とともに柔軟性を失い、もろくなります(脆性増大)。特に棘上筋の腱は血流が乏しく、変性が起きやすい部位です。 |
| 反復する物理的ストレス | 野球、テニス、水泳などのオーバーヘッドスポーツや、重労働で日常的に腕を繰り返し上げる動作(繰り返しの負荷)が、変性した腱に小さな損傷を蓄積させます。 |
| 外傷(急性損傷) | 転倒して手をついた、あるいは強く肩をぶつけたなど、強い外力が加わることで一気に腱が断裂することもあります。 |
◎損傷の種類と重症度
損傷は、その程度によって「完全断裂」と「不全断裂(部分断裂)」に分けられます。
- 不全断裂(部分断裂):腱の一部が断裂している状態。痛みは強いが、多くの場合、保存療法で症状の改善が見込めます。
- 完全断裂:腱が完全に切れてしまっている状態。筋力低下が顕著になることが多く、断裂の大きさや活動性によっては手術が検討されることがあります。
2. 腱板損傷の主な特徴(症状)
腱板損傷で最も訴えが多い症状は痛みと運動障害です。
1. 疼痛
- 運動時痛(動かしたときの痛み):腕を上げる動作(特に60度~120度くらいの範囲)や、特定の方向に力を入れたときに痛みが強くなります。
- 夜間痛(やかんつう):寝ているとき、特に患側の肩を下にして寝るときにズキズキとした強い痛みで目が覚めることがあります。これは炎症や血流障害が関与していると考えられています。
- 動作終了時の痛み:腕を上げていた状態から下ろす際にも痛みが走ることがあります。
2. 運動障害・筋力低下
- 可動域制限:痛みのために肩を動かせる範囲(可動域)が狭くなります。しかし、他人の介助があれば肩を上げられることが多いのが、後に述べる「凍結肩(いわゆる五十肩)」との大きな鑑別点となります。
- 筋力低下:腱が断裂しているため、腕を上げる(特に外側へ)動作や回旋動作の筋力が低下します。重症な完全断裂では、自力で腕を上げることが非常に難しくなります。
💡 凍結肩(五十肩)との違い
| 項目 | 腱板損傷 | 凍結肩(五十肩) |
| 原因 | 腱の断裂・変性 | 関節包などの炎症・拘縮 |
| 可動域 | 他動(人に動かしてもらう)では動くことが多い | 他動でも硬くて動かない(関節包の拘縮) |
| 筋力 | 筋力低下がある | 筋力自体は保たれていることが多い |
3. 効果的な保存的ケアと治療法
腱板損傷の治療の基本は、保存的療法です。断裂の程度や症状にもよりますが、多くのケースで保存療法により症状の改善が期待できます。
A. 日常生活でのケア(RICEの原則と安静)
- 疼痛がある時:痛みが強い急性期や増悪時は、無理な動作を避け、患部を安静に保ちます。
- アイシング:炎症や痛みが強い場合は、氷嚢などで患部を冷やす(アイシング)と痛みの緩和に役立ちます。
- 姿勢の改善:猫背や巻き肩は肩関節に負担をかけます。日頃から良い姿勢を意識し、体幹の安定を図ることが重要です。
B. マッサージと鍼灸療法
マッサージや鍼灸は、痛みの軽減と血行改善、そして肩関節周辺の筋肉の緊張を緩める目的で行われます。
- マッサージ/徒手療法
- 目的:肩関節周辺(特に僧帽筋、肩甲挙筋、菱形筋など)の過緊張を緩め、血流を改善します。
- 注意点:損傷部位(腱板そのもの)を強く揉みすぎると、炎症を悪化させる可能性があるため、損傷部から離れた関連筋や、首・背中の筋肉を中心にアプローチします。
- 鍼灸療法
- 目的:痛みを感じる部位や、その周囲のツボ(経穴)に鍼やお灸を施すことで、鎮痛効果と血行促進を図ります。
- アプローチ部位:肩関節周囲のツボ(肩髃、肩貞、天宗など)や、痛みの原因となっている筋(トリガーポイント)に施術します。血流が改善することで、組織の修復を促す効果も期待できます。
C. 運動療法(リハビリテーション)
運動療法は、腱板損傷の保存療法の柱であり、痛みが落ち着いてきた時期から積極的に行います。
目的は、関節可動域の改善と腱板・肩甲骨周囲筋の機能回復です。
1. 可動域訓練(ストレッチ)
痛みが出ない範囲で、肩関節の動く範囲を広げます。
- 振り子運動(コッドマン体操):体を前かがみにし、腕の力を抜いて重力に任せてゆっくりと小さく円を描くように回します。関節に負担をかけずに可動域を広げるのに有効です。
- 壁伝いの上昇:指を壁につけ、指を這わせるようにして徐々に腕を上げていく練習です。
2. 筋力強化訓練
腱板の機能を取り戻し、肩関節の安定性を高めます。特に残っている腱板の機能を高めることが重要です。
- 腱板の強化:ゴムバンドなどを使った抵抗運動で、外旋(棘下筋・小円筋)と内旋(肩甲下筋)の筋力を強化します。
- 肩甲骨周囲筋の強化:肩甲骨を正しい位置に安定させる僧帽筋中部・下部や前鋸筋のトレーニングは、肩関節への負担を減らす上で非常に重要です。
D. その他
痛みが強い場合は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の内服や、関節内や滑液包への注射(ステロイドやヒアルロン酸)が一時的な痛みの緩和のために用いられることもあります。
まとめ
腱板損傷は、加齢による変性と慢性的な負担が主な原因で、夜間痛や運動時痛、そして筋力低下が特徴です。
治療はまず保存的療法(安静、薬物療法、マッサージ、鍼灸、そして重要な運動療法)を数ヶ月単位で継続することが推奨されます。特にリハビリテーションにおける適切な筋力強化と可動域訓練は、肩の機能回復のために欠かせません。
症状が改善しない場合や、断裂が大きく活動に支障をきたす場合は手術が検討されることもありますが、多くのケースで適切なケアにより日常の支障は大きく軽減されます。
専門家(整形外科医、理学療法士、柔道整復師、鍼灸師)と連携し、ご自身の状態に合わせた最適な治療計画を進めていきましょう。
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