ここでは、尺骨神経麻痺の原因となる2つの疾患についてまとめていきます。
尺骨神経麻痺の概要などは、コチラと合わせてご活用ください。
◆肘部管症候群とは
肘部管は、上腕骨内側上顆と尺骨神経溝を底として
尺側手根屈筋を結ぶ筋膜性のアーチのことで、この部分での尺骨神経の
絞扼性神経障害が起きたものを肘部管症候群といいます。

■肘部管症候群の原因
外反肘・骨棘形成・筋膜の絞扼が挙げられ、一番多い原因は
変形性肘関節症による骨棘に起因するものが多いです。
また外反肘も、先天的に形成されている方もいれば骨折の受傷後に
外反肘になる場合もあり、尺骨神経が肘部管で圧迫されることあります。
■肘部管症候群の症状

初期では、手の尺側掌背側と小指全体と薬指尺側の知覚障害や痺れを感じます。
また肘部管症候群の特徴として、肘関節を曲げたままでいることで
痺れの感覚が増強するので、極力肘関節の屈曲を避ける。
また長期化し数ヶ月経過すると、握力低下や巧緻性低下・鷲手を呈する。
■肘部管症候群の診断と治療
診断方法は、肘部管症候群の臨床症状と肘部管へのチネル徴候や
病院などで筋電図検査や神経伝導速度などによってされます。
当院での治療方法は、肘部管の絞扼を緩和するために尺側手根屈筋の緊張緩和や
それに隣接・関連する筋肉へ手技療法を行います。
また、外反肘の変形による関節や肘部管の負担や狭窄を軽減させるための
関節の運動療法を必要に応じて取り入れ、より肘部管への負担を解消します。
先程、お伝えしたように肘の屈曲により症状を増悪してしまうので
ご自身での肘の伸展位での安静も必要になってきます。
状態や症状によっては、手術を専門機関で行う可能性もあります。
◆ギヨン管症候群とは

手根骨の手掌側にある靱帯や腱などに囲まれて形成されたギヨン管において
尺骨神経が圧迫を受け生じる絞扼性神経障害をいいます。
■ギヨン管症候群の原因
手根骨である、豆状骨や有鉤骨の骨折・ガングリオン・反復性の外傷などがある。
特に有鉤骨骨折は、手を反った背屈位の状態での転倒や
野球のバット、ゴルフのクラブなどグリップを握るスポーツの衝撃で
骨折が生じることで、ギヨン管への障害が起き尺骨神経麻痺を合併することがある。
■ギヨン管症候群の症状
手関節より先の障害なので、主に手指の拘縮による把持動作制限・巧緻性低下。
長期化することで、鷲手変形を呈する。
浅枝の尺骨神経損傷では、小指・薬指尺側に知覚障害も現れる。
■ギヨン管症候群の診断や治療

フローマン徴候で尺骨神経麻痺の確認を行います。
両手の親指と人差し指で1枚の紙をつまんで引っ張りあったとき
尺骨神経麻痺が疑われる側の親指が曲がるかどうかを確認します。
尺骨神経が麻痺すると親指の内転筋力が低下し、つまむ状態を維持することが
できなくなるので尺骨神経麻痺の原因となる疾患が特定されやすくなります。
一般的な治療方法は、知覚障害や疼痛が主な場合には
医療機関にてステロイド剤の局所注射を行います。
また運動麻痺が強い場合には、手術による対応もあります。
当院での治療は、手の外在筋である尺側手根屈筋、中指~小指の深指屈筋
小指球筋(小指外転筋・短小指屈筋・小指対立筋)・母指内転筋・第3~4中様筋及び骨間筋群の
萎縮の除去を中心に行い、ギヨン管を形成する靱帯や尺側手根屈筋や深指屈筋腱の
障害部位の負担・狭窄を改善するのを目的に行い症状の消失を目指します。
また筋の萎縮を緩和するために、患者さん自身でも運動療法を行い早期改善を目指します。
もちろん、肘部管症候群やギヨン管症候群の治療に鍼灸も効果的です。
こういった尺骨神経の症状が日々の生活に影響を与えている方
当院の治療で改善する可能性もありますので、お問い合わせ・ご予約いただければと思います。
光幸はりきゅう院・接骨院 代表:庄司 有希