五十肩とは、主に40~60歳代に発症する肩の痛みと

運動制限を主訴とする肩関節周囲炎の一種です。

男女差はあまりなく、肉体労働よりもオフィスワーカーで身体をあまり

動かさない人に割合多く発症する傾向がある。

五十肩の定義・概要としては明らかな誘因がなく、徐々に発症し

生活動作などにある程度の影響はあるものの、保存療法や運動療法を行うことで

比較的良好な経過をたどるものです。

ですが、炎症部位が一定とはいえず、病理学的にも基準が定められていないため

他の肩関節の周囲炎疾患と混同しないため鑑別が必要になります。

五十肩は筋・腱・靱帯・関節包・滑液包などをまきこんだ広範囲な障害でもあります。

では、項目ごとに五十肩の特徴を簡単にまとめていきます。

■なぜ、40~60歳代に発症するのか?

10~20歳代でも五十肩と同様な肩関節の運動障害や制限をみることは

もちろん可能性として0ではありません。

しかし事実として、五十肩の大部分がこの年代に集中しています。

その理由としては

若年層では関節や組織に加齢性の変性は、ほぼ無いことから障害は限局的に留まり

広範囲な障害へと発展することが少ないこと。

逆に加齢により筋力低下や軟部組織の摩耗、関節の変性などの程度が

強くなってくるため個体差もあるが、50歳代前後という年代は

広範囲な組織障害に発展しやすいといえる。

■なぜ、明らかな誘因がないのか?

まず加齢性による組織変性ということは、外部からの損傷とは関連性はありません。

また内的誘因として、自律神経系に影響を及ぼす精神状態や緊張状態

内分泌異常を引き起こす疾患を患っている(糖尿病・結核・腎炎・胃潰瘍など)

頸椎や胸椎の変性・患者自身の性格や過敏症などの傾向なども

五十肩の発症に関係するとも考えられています。

■なぜ運動制限と痛みが主訴となるのか?

運動制限や痛みの基準については、様々な考察があります。

まずは肩関節を構成する軟部組織の癒着により生じた拘縮によるものや

肩甲骨の位置状況・偏位によるもの、などが大きいと考えられます。

もとより、肩甲骨は肋骨の上に浮いており上下左右に付着する筋肉に

依存しており適切な位置を保っています。

ですが、五十肩を発症する方の肩甲骨は外方へと偏位することが多く

この状態は、肩関節の安定性を保つ回旋筋腱板に負担が及ぶだけでなく

上腕骨の軸を崩したり、血管が通過する隙間を狭窄化を引き起こし

その結果、血流障害の原因をつくってしまいます。

これにより関節の制限や痛みは、より強固となり生活に支障をきたすのです。

また五十肩には進行により病期があるのも特徴であり各期で所見が異なる。

1.Frrezing 期:疼痛性筋痙縮期

痛みを伴う筋のスパズム(痙縮)によって生じた運動制限の時期。

このときは筋や関節への異常は認められることはあるが

関節包や滑液包には癒着がほとんど生じていない。

肩関節の外転など挙上させる動作は、軽い痛みを感じる程度で

可動域には、影響はあまり出ていない。

そこで進行することで、無意識の運動時で強い電撃様の痛みを生じ

安静時でも痛みや、違和感を感じてしまう。

このFreezing期の状態で、マッサージや鍼灸治療・運動療法を

早期的かつ継続して行うことで、これより先の悪化を防げる可能性は高くなります。

2.Frozen 期

さらに病状はが進行、長期化した状態で筋肉や関節はより障害を受け

関節包や滑液包、腱などに癒着が生じた時期となります。

それに伴い、運動は強い痛みによって極端に制限を受けてしまい

痛みは頚部、背部、上肢にまで放散し夜間痛に悩まされるようになる。

その痛みにより、睡眠の妨げとなり精神的にも肉体的にも辛くなる。

最終的には、痛みは徐々に減少傾向をたどりますが運動制限は残存します。

◆五十肩の症状

痛みに関しても様々で、動作時痛・安静時痛・夜間痛であるが

夜間痛は激痛を伴うため、睡眠の妨害となり不眠症に陥る事も少なくない。

運動制限は、あらゆる方向の運動が制限されます。

結帯・結髪・ぞうきんがけの動作などの日常作業も障害されやすいです。

◆五十肩の治療

Freezing期とFrozen期で病態が異なるため治療目的も変わります。

前者では、主に痛みの改善、後者では筋や関節などの拘縮の改善になります。

治療の効果が現れてくるのも、前者であれば数ヶ月程度を要し

後者では、1年未満の期間がかかる可能性もあります。

当院では、マッサージ・鍼灸・カッピング・運動療法・温熱療法を

五十肩の病期や症状などにあわせた治療を行います。

マッサージは筋や関節組織の緊張を目的に行います。

鍼灸治療では、鎮痛効果が非常に期待できます。

また鍼は、関節の隙間へ刺入でき関節内部の組織へ与えられるのも強みです。

灸治療や温熱療法は、拘縮した組織の緩和や血流改善が行えるので

関節の転がり運動を助ける滑液の潤滑や分泌を促す効果を得られます。

カッピング治療も、血行不良改善・運動制限の因子除去に効果的です。

また筋や関節の状態を整えた後に運動療法を行うことが五十肩を

改善するのには最も必要になってきます。

崩れた関節の位置や、痛みなどで正しい運動パターンを再学習をしないと

肩関節の本来の環境を取り戻せません。

運動療法も、骨格・関節のバランスにあわせて行なわせていただきます。

その指導・処方した運動療法を毎日、集中して行うことで早期的な

五十肩の拘縮改善へと導けるのです。

五十肩でお悩みの方、当院に一度お問い合わせください。

光幸はりきゅう院・接骨院 代表:庄司 有希