腰にだるさや痛みを抱えている場合、背骨に付着する筋肉だけではなく
腹部を押すことで腰の不調が軽減・変化することがあります。

今回は、なぜ腹部の緊張を除去すると緩和するのか解説していきます。

◇筋膜や筋肉の連動による緩和効果

腹部の筋肉(腹直筋や腹横筋、内・外腹斜筋)は
腰回りの筋肉(脊柱起立筋や腰方形筋)と筋膜や神経で連動しています。
そのため、腹部を押すことで腹筋が一時的に緩むので
結果として背面の筋肉(特に腰)への負担が減る場合があります。

◇腹圧の調整による脊椎の安定化

腹部を押すと腹圧(腹腔内圧)が一時的に高まり
これが体幹を安定させる作用を持ちます。
腹圧が上がると腰椎の負担が軽減され、腰痛が一時的に和らぐことがあります。
これはコルセットや腹巻きで腰痛が楽になるのと似た仕組みです。

◇トリガーポイントの刺激

腹部の深層筋や内臓の近くには、腰痛に関係する
「トリガーポイント(筋肉の過敏点)」が存在する場合があります。
これを押すことで、関連痛が和らぐことがあります。

◇内臓の反射的影響(内臓-体性反射)

特定の内臓(例:腸、腎臓)に異常があると、それが腰の痛みとして現れることがあります。
腹部を押すと内臓が刺激され、それによって体性反射が
変化して腰痛が軽減する可能性があります。

例として、膀胱炎を発症していて腰痛を引き起こすケースなどです。

◇神経的なゲートコントロール理論

軽い圧迫や刺激を加えると、痛みの信号が脊髄レベルで「遮断」されやすくなるという理論です。
腹部を押すことで、痛みを伝える神経よりも早く他の触覚情報が伝わり
結果として腰の痛みが一時的に感じにくくなる場合があります。

このような現象は一時的な緩和であることが多く
根本的な原因である筋力低下を変えていくと解決しやすくなります。

椎間板ヘルニアなど、器質的な変化の場合は対処が異なることもあります。

必要に応じて整形外科、内科的な精査を受けることをおすすめします。

光幸はりきゅう院・接骨院 代表:庄司有希